最前線からのインバウンド新常識!
“観光戦国時代で勝つ”
株式会社ノットワールド 河野有

第5回 旅行商品をどう作るか?そして磨き込むか?(その2)

4月を迎え、新年度となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今年も桜の勢いを強く感じており、すごい数の外国人の方が日本に来てくれてますね。
街中でも見かけることが一段と多くなったと思います。
作業に忙殺されると、一人ひとりへの思いが抜けてしまいがちです。
ゲストは一生に一度かもしれない日本旅行、最高に楽しんでいただけるように、
こんな時こそ細心の注意で取り組んで行きましょう!
さて今回は、商品造成(全2回)の2回目となります。
まずはざっくり作り上げた前回に続き、それを検証し、
プロダクト(旅行商品)に仕上げていきます。

今後の予定は、

  • ガイド・接客の心得:2回
  • プロモーション:1回
  • 読者の疑問にお答え・未来の旅行を考える:3回
  • まとめ:1回

〜内容〜

[1] 実際に試してみて、内容を吟味する

前回、大まかにストーリーを組み立て形にしました。ここまで来たら、今度は実際に試してみる段階です。いわゆるモニターツアーですね。まず、なんのためにモニターツアーをやるのか、その「目的」を明確にしておきましょう。

以下3点が主な「目的」となります。

  1. 商品力の確認
    想定したメッセージをゲストが感じてくれるか、楽しんでくれるか
  2. ガイド力の確認
    自分たちが伝えたいメッセージをしっかり伝えることができているか
  3. プロモーション用素材作成
    写真やビデオを取ることで販売素材を確保する

「目的」を踏まえたら、モニターツアーの注意点に配慮してください。

  1. A:どんな人にモニターをお願いするのか
    もし、既に外国人がたくさん来ているエリアなら、来ている人に呼びかけるのが一番早いですね。ホテルだったり、ゲストハウスだったりで、告知するのも意味があります。自分達がターゲットとしている国籍の方だと、よりよいですね。外国人がほとんどいないエリアの場合ですと、近くに泊まっているゲストだったり、留学生の力を頼るのがいいかと思います。
    (以下にも書きますが、外国人目線を持つ日本人でも大丈夫です!)
  2. B:何を参考にするのか
    モニターツアーをやると、非常にたくさんの改善点や意見が出ます。ただ、それを全て聞いて修正する必要は全くありません!!というのも、当たり前のことですが、モニターツアーのゲストは本当のゲストとは違う!からです。
    たとえば、
    • 有料で参加するツアーに、無料で参加している(もしかしたら客層が違うかも)
    • その土地に住んでいる人が参加している(旅行者とは違う目線かも)
    • そもそも人によって意見は違う!(国籍やエリアによって傾向はあるものの、個体差のほうが多い)
    など、すべての意見を割り引いて考える必要があります。

そんな中、弊社の場合ですと、一番大事にしているのは、【自分たちの感覚】です。実際4年間ツアーをやってきて、多くのゲストと接していると、ゲストがどう考えるか、どう思うか、がだいたい分かるようになってきます。その状態の自分たちが確認した方が、数人の留学生・外国人の意見よりも信じられることが多いです。

何回か実施してみて、一人の意見にこだわりすぎず、傾向を見ながら、修正していきましょう。

[2] マニュアルに落とし込む

既述の「モニターツアー」を経て、得た知見をマニュアルに落としていきます。マニュアル、と聞いて『むむむ???』と思う方がいらっしゃるかと思います。ではここで質問です。

  • おもてなしにマニュアルが必要なのでしょうか?

実は私も最初は、マニュアルは必要ないと思っていました。おもてなしは、個人に合わせて対応することで、マニュアルがあるとそれを妨げてしまう、と。ただ、とあるインバウンド業界の先輩の一言で、私は考えを変えました。

『マニュアルは、必要である!なぜかと言えば、考えずにクオリティを安定させる事に効果があるから。そして、真のおもてなしは、ベースにマニュアルがあった上で、ゲストに合わせてカスタマイズすることで生まれるからです』

弊社でも、ツアーごとにマニュアルを作っています。内容は、まずはざっくり作り込んだ上で、ツアーをやった上でのゲストの反応、困った質問、ウケたネタ、などを追加していくのが一番良さそうです。いったん、マニュアルを作り上げるとそこで商品完成となります。弊社だと、ここまでで1ヶ月~1.5ヶ月というところでしょうか。

スピード感を持って、ガシッと取り組みましょう!!

[3] 注意したほうが良い点

最後に、商品造成において、注意したほうが良い点を2点ほど追加しておきます。

  1. お金をかける場所を誤らない
    この段階で、モニター募集にお金をかけすぎるのは全くおすすめできません。非常によくあるのが、モニターでブロガーやYoutuberなどのインフルエンサーを呼んでしまうパターン。吟味して修正していく段階で、プロモーションをしようとするのはちょっと時期尚早です。もしある程度出来上がっており、クオリティ高くゲストに提供が可能な状況であれば、どんどんプロモーションするといいと思います。
  2. 商品に完成はない
    前にも書きましたが、事件は現場で起きています。日々の現場において、ゲストの反応を見ながら、随時修正・アップデートしていくことが一番大事です。現場からのフィードバックをウケて、PDCAを回し続けることを忘れないようにしましょう!!

以上で商品造成についての回を終了します。最後までお読みいただきありがとうございました!次回は「ガイド・接客の心得」(全2回)の1回目となります。出来上がった商品を、ゲストに届ける、すごく大事な役割ですね。
次回もぜひお楽しみに!

以上

ご意見やご感想があれば何なりと連絡をください。必ずご返答差し上げます! →info@knotworld.jp

・執筆者:河野 有、ノットワールドについてはこちら