セミナー・イベント Seminar

[2019.10.9] J-TLACインバウンドセミナー

【テーマ】地域の観光コンテンツの発掘
2019年から2021年までの間、日本では様々なスポーツの世界大会が開催され、この3ヵ年は「ゴールデン・スポーツ・イヤーズ」と称されています。世界中の人々が観戦のために訪日し、滞在期間中、全国を周遊することが予想されます。他方で、「ゴールデン・スポーツ・イヤーズ」後、我が国の観光事業はどのような潮流に向かうのでしょうか。本セミナーは、2021年以降の観光ビジネス動向や最新知見をご紹介し、各都道府県における新たなビジネス開発の可能性について、ご検討いただくことを目的として開催しました。

【講演のテーマ】
「ソーシャルビッグデータを活用した、全国インバウンド観光調査」
小宮 常正氏(東京海上日動火災保険株式会社 営業企画部次長)

 

(プロフィール)
1996年、東京海上火災保険株式会社に入社以来、全国各地で営業に従事。2009年から文部科学省およびスポーツに関する保険ビジネスの責任者として、Tokyo2020大会招致や保険手配に携わる。2019年度からは営業企画部に着任し、地方創生の責任者として地域の社会課題解決に資する各種ソリューションの企画立案を担当している。

 

【概略】
インバウンド4,000万人を地方創生に生かすために。

本日は弊社のインバウントならびに地方創生の取り組みについてご紹介させていただきます。

弊社は「お客様の信頼をあらゆる事業活動の原点におき、安全と安心の提供を通じて、豊かで快適な社会生活と経済の発展に貢献します」という経営理念を掲げています。各地域で経営理念を実現することが「地方創生」であり、「地方創生」は経営理念の実践そのものであると考えています。
そのため弊社では、地域の企業様の事業を保険で支え、地域の経済を活性化することで地方創生につなげる取り組みを行っています。
これよりご紹介する「ソーシャルビッグデータを活用した全国インバウンド観光調査」の特長は、4,000万人にも達しようとする訪日客を地方創生に生かすには、ソーシャルビッグデータの分析が鍵を握ると考え、その調査結果をお客様に無償で提供するところにあります。この特異な取り組みが内閣官房に評価され、2017年には表彰の名誉にもあずかりました。

全世界の無数の口コミから、インバウンドのつぶやきだけを抜き取り、分析する。

無償で提供する調査結果とは、インバウンドが訪れる「穴場スポット」の発掘や、観光動態が分かる「周遊ルート」の割り出しなどで、地域の観光のトレンドを導くものです。観光のトレンドが理解できば、呼び込みやもてなしの方法も見えてくると思われます。
一般に観光のトレンドを発見する際に行われるアンケート調査は、多くの手間やコストが必要です。さらに官公庁が提供するアンケート結果では、地域固有の分析までは見えにくいという難点があり、RESAS(地域経済分析システム)でも、観光客が集まっている実態が把握できても、なぜそこに集まったのかという理由までは示されません。
弊社が提供する観光トレンドのユニークネスは、訪日観光客の『つぶやき』をニュースソースにしていることです。TwitterやWeibo(ウェイボー、中国SNSの開祖でユーザー数は約7億人)、トリップアドバイザー上でつぶやかれる、全世界の無数の口コミから、インバウンドのつぶやきだけを抜き取り、都道府県単位で分析します。
例えばTwitter に紐付いたアカウントで、北海道から東京経由で大阪へ周遊したインバウンドの観光動態が把握でき、各地の観光スポットで何をつぶやいたのかも分かります。
つぶやきの内容から、観光スポットの評判の良し悪しが判断でき、ポジティブな口コミであれば、観光地としてのポテンシャルの高さが裏付けられたことになります。ポジティブな発言が少なければ、観光資源としての見直しを考えるきっかけになります。
訪日観光客がどこから足を延ばしてきたか、訪れた理由は何か。その観光スポットの評判や感想、その後の足跡まで追い求めることができるので、地域の観光施策を考える上で、とても重要なデータになると確信しています。

全国の穴場スポットに注目し始めたインバウンドを攻略するために。

無償で提供する調査結果とは、インバウンドが訪れる「穴場スポット」の発掘や、観光動態が分かる「周遊ルート」の割り出しなどで、地域の観光のトレンドを導くものです。観光のトレンドが理解できば、呼び込みやもてなしの方法も見えてくると思われます。
一般に観光のトレンドを発見する際に行われるアンケート調査は、多くの手間やコストが必要です。さらに官公庁が提供するアンケート結果では、地域固有の分析までは見えにくいという難点があり、RESAS(地域経済分析システム)でも、観光客が集まっている実態が把握できても、なぜそこに集まったのかという理由までは示されません。
弊社が提供する観光トレンドのユニークネスは、訪日観光客の『つぶやき』をニュースソースにしていることです。TwitterやWeibo(ウェイボー、中国SNSの開祖でユーザー数は約7億人)、トリップアドバイザー上でつぶやかれる、全世界の無数の口コミから、インバウンドのつぶやきだけを抜き取り、都道府県単位で分析します。
例えばTwitter に紐付いたアカウントで、北海道から東京経由で大阪へ周遊したインバウンドの観光動態が把握でき、各地の観光スポットで何をつぶやいたのかも分かります。
つぶやきの内容から、観光スポットの評判の良し悪しが判断でき、ポジティブな口コミであれば、観光地としてのポテンシャルの高さが裏付けられたことになります。ポジティブな発言が少なければ、観光資源としての見直しを考えるきっかけになります。
訪日観光客がどこから足を延ばしてきたか、訪れた理由は何か。その観光スポットの評判や感想、その後の足跡まで追い求めることができるので、地域の観光施策を考える上で、とても重要なデータになると確信しています。


【講演のテーマ】
講演②「世界目線で考える地域の観光スポット化のシナリオ作り」
高橋 政司氏(オリジナル株式会社 執行役員 シニアコンサルタント)

 

(プロフィール)
1989年、外務省入省。外交官として、ドイツ連邦共和国などの日本大使館、総領事館に勤務。2009年、領事局にて訪日観光客を含むインバウンド政策を担当し、訪日ビザの要件緩和などの制度設計を行う。2014年、国際文化協力室長としてUNESCO「世界文化遺産」など様々な遺産の登録に携わる。2018年10月より現職。2019年、観光庁専属有識者。

 

【概略】
「世界目線」で観光を考え、新しいシナリオを描く。

本日は、観光スポット化のためのシナリオ作りにおきまして「世界目線」が大切になる、というお話をさせていただきます。

まず最初に、世界の観光を「世界目線」から俯瞰してみましょう。現在、GDPに占める観光業の割合は約10.5%(WTTCによる試算 2018年度実績)であり、とても大きなポテンシャルを有しています。政府も自治体も、そして多くの企業が、この10.5%を引き寄せようと四苦八苦しているのが現状ではないでしょうか。
別の「世界目線」で眺めると、観光業が世界の総輸出量に占める割合が、約7%(UNWTOによる試算)であるということが分かります。観光業は今、エネルギー(1位)と化学製品(2位)に次いで、世界第3位の輸出量を誇っているのです。自動車産業(第4位)を抜きトップ3にランクインした観光業ですが、本セミナーにご参加の方々は、この7%のシェアを目当てに、日々奮闘していることになります。
では少し目線を変え、世界を移動する人の動きについて見てみましょう。1950年代の統計では、世界を旅行する人の数は約2,500万人でした。それが2005年には、約11.9億人にまで膨れ上がりました。今後2030年には、18億人もの人が世界を渡航するだろうと予測されています。
つまり、現在の訪日観光客の分母は約11.9億人であり、分子のボリュームをいかに増やすかが今後の課題になります。「世界目線」で観光を考えていくと、これまでにないシナリオが描けるのではないでしょうか。

ゴールデンルートから離れた遠方の地域ほど欧州市場を取りに行くべき。

2018年に世界を旅した人の約半数が欧州からの旅行者でした。その数、6.7億人(UNWTOによる統計)。欧米豪を合わせれば70%にも達します。一方、アジア圏の旅行者は約3.2億人。この数字からも明らかですが、世界の観光立国は欧米豪の取り込みに積極的です。ところが日本の政府や自治体、企業はこぞってアジア圏の取り込みに躍起です。まるでそれが、日本のインバウンド戦略の王道であるかのようにです。
ちなみに欧州からの訪日客の観光支出は、1人当たり約165,000円(JNTO調べ)で、アジア圏からの旅行者のおよそ2倍。でも何故か日本は欧州ではなく、アジアを狙おうとするのです。
大切なロジックがあるのでご紹介しましょう。それは「遠方からの観光客の方が、消費傾向が高い」ということです。欧州からはるばる長距離を飛んで来るには理由があり、訪れたからには高額な支出もいとわない、ということです。韓国や中国、台湾など、“いつでも簡単に来れるから”という程度のモチベーションでは、高額の金は落とさないのです。その意味では、ゴールデンルートから離れた遠方の地域ほど、欧州市場を取りに行くべきではないでしょうか。

地域の観光資源を「刺さる説明」という「世界目線」でストーリーメイクする。

では「世界目線」で地域の観光スポット化を図る上での要点をご紹介します。それは、日本人の価値観がくまなく世界に通用するわけではない、ということを踏まえ、旅行者に「刺さる説明」を徹底するということです。
ドイツを例にとれば、人口8,200万人のうち、1年間に世界を旅するドイツ人は8,300万人いるそうです。そこまで多くの旅行者が世界を飛び回っているのに、日本はたった0.2%(22万人)しか呼び込めていません。一方、同じアジア圏のタイへは、84万人のドイツ人が訪れています。実はこの差が、「刺さる説明」が出来ているか否かの差ではないかと考えています。
例えば、世界文化遺産として認められた長崎や天草の教会群に、ドイツ人を呼び込もうとしても、建物の荘厳さでは自国のケルン大聖堂に太刀打ちできません。2世紀にも渡る潜伏キリシタンの連綿たる歴史が説明できて初めて、観光スポット化が可能になるのです。
地域の観光資源を「刺さる説明」という「世界目線」でストーリーメイクし、広報戦略として構築することが必要です。

中国人ビザ発給要件を緩和し、沖縄への誘客増加を実現した「沖縄数次ビザ」。

世界でも類のないもので、日本で初めて発行されたマルチビザです。中国人に向け、最初の訪問時に沖縄に1泊以上すれば、ビザの有効期間の3年間は、ゴールデンルートであろうがどこであろうが、自由に何度でも訪日を可能(1回の滞在30日間)にしたのです。発行の翌年には、前年同月比40倍の中国人が沖縄を訪れました。結果宿泊日数は前年を大きく上回り、消費単価も全国平均の倍以上を記録しました。
インバウンドを活用した地域活性化の鍵は、徹底した市場分析と説明戦略に基づき磨き上げられた資源の両方が不可欠です。

本日は、ご清聴ありがとうございました。


【講演のテーマ】
「グランピングで観光スポット化だけでなく、ヒト・モノ・カネが動く」
吉村 司氏(株式会社Glamp 代表取締役社長)

 

(プロフィール)
大阪生まれ。マガジンハウス発行の女性誌「ハナコウエスト」編集長を経て独立。淡路島にグランピングキャンプ場「FBI」を仲間達と開業。2016年、グランピング専門雑誌「Glamp」を講談社より発行。編集長に就任。兵庫県三木市の「ネスタリゾート神戸」等グランピング施設のプロデュース他数多く担っている。

 

 

【概略】
キャンプの苦労や不自由さの大半を排除した「グランピング」

本日は、これからの日本を発展させる新規事業として注目を集める「グランピング」についてお話をさせていただきます。

最初に、グランピング(Gramping)とは何かについてお話しましょう。この名称は、グラマラス(Glamorous)とキャンピング(Camping)を合わせたもので、海・山・川・湖などの自然のロケーションに最も近い空間に滞在する際に、一般的なキャンプより快適に過ごすことができる新しいアウトドア・ライフスタイルと定義されます。
2010年台のイギリスで、グランピング・ドット・コムというWEBサイトが公開されたことをきっかけに世界中に広まりました。その後日本で初めてのグランピングリゾートとなった、富士山麓の「星のや富士」の開業が話題を呼び、グランピングという名前が国内で浸透することになりました。
それまで、日本でキャンプと言えば、自然と楽しむために、なにかと我慢が優先するアウトドア・レクリエーションでしたが、グランピングがキャンプの苦労や不自由さを排除したことで、ストイックなキャンプ愛好家とは違う、新しいマーケットを生み出すことになりました。
面倒なテントを張る必要は特になく、ベッドやソファからBBQセット、食材までも用意されていることが格別の贅沢!と、流行に敏感な20〜30代の女性から熱烈な支持を得ることになりました。
彼女たちの情報発信力は絶大で、インスタ映えするキャンピングサイトの写真は、大量の「いいね!」を獲得しながら、またたく間に幅広い世代へと広がっていったのです。

グランピングは地方を活性化する切り札。

弊社では、グランピングが地方を活性化する切り札になると考えています。グランピングに適した空間としては、全国の遊休地や公園、キャンプ場が考えられ、これらの対象地をグランピングという手法で再活性化することができるのです。
成功例としては、日本初の大自然の冒険テーマパークとして評判の「ネスタリゾート神戸」が挙げられます。約230万m²もの広大な敷地に、様々なアクティビティが整えられ、自然と一体となるグランピングも楽しむことができます。
 「ネスタリゾート神戸」以外で、弊社関連が関わったグランピング事例をいくつかご紹介しましょう。
① 滋賀県高島市と一緒に取り組んだ「STAGEX高島」は、琵琶湖沿いにある風車村施設が閉鎖された跡地を、グランピング場として再開発しました。
② 「アイススターホテル」は北海道の大雪山系にある氷のホテルで、究極の冬グランピングとして評判を呼びました。
③ 鳥取県の大山麓2万坪の敷地を切り拓いた「FBI大山」は、大山を見上げる絶好ロケーションが人気のグランピング施設です。
④ 大阪駅前という都会の真ん中でBBQが楽しめる「ウメキタグランピングリゾート」は遊休地を暫定利用(2年間)しています。
⑤ ゴルフ場に隣接したキャンプ場「東京クラシックキャンプ」では、ハイスペックのグランピングが満喫できます。

都市部からの消費力旺盛な女性層が、地域の経済を活性化していく。

では、ビジネスという面からグランピングを見ていきたいと思います。まず、事業主から見れば、グランピングは開発コストと運営コストが極めて安価であることが何よりの利点です。ちなみに「ネスタリゾート神戸」では、約3ヶ月で1,000席のBBQ場を完成させました。短期間で容易に、その後の増設や撤去も簡単に施工できます。
利用者の視点から見れば、これまで自然の中で遊ぶことに何かと抵抗を感じていた若い女性層が、気軽に自然を満喫する格好の遊びを発見した、ということになります。
市場特性から考えれば、およそ850万人程度存在する言われるアウトドア層とは違い、グランピング層は通常の旅行者層と同じ趣味嗜好=快適に自然と遊びたいマインドの持ち主であり、今後のマーケットの伸長も十分に期待できるのではないかと考えています。
また、都市部からの消費力旺盛な女性層が、地域の経済を活性化していくことにも大きな期待が寄せられています。
今後のビジネスの可能性は、ゴルフ場や公園、既存ホテルや温泉施設にグランピングを併設することです。例えば、BBQなどで自然を満喫した後は、快適なホテルの宿泊機能を活用することで、ホテルの活況も見込めます。
さらに、日本の地域の魅力に目をつけ始めたインバウンド層も、重要なターゲットです。日本の自然は魅力に溢れています。事実、中国や香港、シンガポールなどの富裕層がグランピングに興味を示し始めています。澄んだ空気の野外で、星空のもと食事するなんて、アジアの富裕層にとってこの上ない贅沢なのです。

本日は、ご清聴ありがとうございました。

 

 

 

会員企業様のご紹介

株式会社電通 日本開発室 インバウンドソリューション開発部の中谷晋輔より、10社の会員企業様のソリューションやサービスの特長・強みをご紹介。その後、セミナー参加者との名刺交換などで、ビジネス機会の発掘や親睦を深めました。

 

 


  • 株式会社D2C

    「ワンストップでインバウンドマーケティングを提供」

    世界初のモバイル広告専門会社として、2000年より培ったノウハウを基に、自社メディア「tsunagu.Japan」を中心にして国や施策を問わずインバウンド施策を提供。


  • 株式会社Gushcloud Japan

    「インフルエンサー・マーケティング支援」

    15,000人以上のインフルエンサー合計5億人のフォロワーを抱え、13か国で展開する、アジア最大級のインフルエンサー・マーケティング!


  • popIn株式会社

    「アジア最大級のネイティブアド」

    日本、台湾、韓国、香港、タイ、マレーシア、中国、シンガポールの8エリア1300サイト超の優良メディアに配信可能!


  • フォン・ジャパン株式会社

    「会員数約3億人!世界で認知されているWi-Fiサービス」

    世界に2,300万ヶ所以上ものWi-Fiスポットを持つ世界最大規模のWi-Fi通信会社!


  • 百度(バイドゥ)

    「中国向けWebマーケティングを一気通貫」

    百度ビッグデータを活用した分析・検索エンジン・百度地図でインバウンド客にアプローチ!


  • 株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス

    「公衆Wi-Fiに特化した通信事業者」

    日本最大級20万ヵ所以上のWi-Fiアクセスポイントを保有・運営中!


  • 株式会社Super Duper

    「チャット型AIレストランメニューSatisfood」

    外国人旅行者の「食べたい」や「知りたい」ニーズに応え、繁盛するお店に導くWebサービス「Satisfood」!


  • Vpon JAPAN株式会社

    「アジア1億人の旅行者データを活用し、旅行タイミングに合わせた広告を配信」

    位置情報や渡航履歴等、様々なデータを活用し、旅マエ〜旅アトまでアジアの旅行客に対し適切な広告を配信可能。


  • 株式会社クロスシー

    「中国⼈向けインバウンド・越境販売のプロモーションをワンストップでサポート

    月間閲覧数15億超のメディアの他、中国の消費動向・テクノロジーに関するノウハウとリソースを駆使し、クライアント課題に最適なソリューションをプランニング・実行。